シャドーイングは、手順さえ押さえればひとりでも練習できます。基本は「やさしい素材」を「内容を理解してから」「同じ素材で5回くらい」くり返すこと。いきなり好きなドラマで始めると、速さについていけず挫折しやすくなります。
この記事では、英語教育の研究者がまとめた手順をもとに、ひとりで練習できる形に整理しました。
- シャドーイングとは(リピーティングとの違い)
- 初心者向けの7ステップ
- 素材の選び方と、ドラマで練習するときのコツ
早すぎるドラマのシャドーイングは挫折します
(更新日:2026年10月)
シャドーイングとは?リピーティングとの違い


シャドーイングは、聞こえてくる英語を、影(shadow)のように少し遅れて、ほぼ同時に声に出してまねる練習です。もともとは通訳者の訓練法で、日本の英語教育には1990年代から取り入れられてきました。
よく似た練習に「リピーティング」があります。違いは次のとおりです。
| シャドーイング | リピーティング | |
|---|---|---|
| 声に出すタイミング | 聞きながら、ほぼ同時に | 聞き終わってから |
| 注意が向くところ | 音そのもの(音のつながり・リズム) | 音に加えて、意味や文法 |
| 主な目的 | 英語の音を聞き取る力、発音 | 文を覚えて言えるようにする |
秋田大学の研究者 Yo Hamada 氏の論文(2021年)では、シャドーイングはリスニングと発音の指導に効果的だという研究が積み重なっていると紹介されています。一方で、リピーティングと混同すると、音を聞き取る力を鍛えるという目的がぼやけるとも書かれていました。
シャドーイングの4つの練習方法
シャドーイングには、負担の軽いものから順に、次のような練習方法があります(斎藤ほか 2006 による分類)。
- サイレント・シャドーイング:声は出さず、頭の中で言う
- マンブリング:はっきり発音せず、小声でブツブツつぶやく
- プロソディ・シャドーイング:リズムやイントネーションに注意してまねる
- コンテンツ・シャドーイング:意味を理解することを意識しながらまねる
初心者は、2のマンブリングから始めると気持ちが楽です。
初心者向けシャドーイングの7ステップ


Hamada 氏の論文で紹介されている授業の手順をもとに、ひとりでできる形にアレンジしました。1回10〜15分が目安です。
字幕やスクリプト(英文)を読み、知らない単語を調べる。意味がわかっている状態で始めるのがポイント
音だけに集中して聞く
小声でつぶやくように、音についていく。うまく言えなくてOK
文字を見ながら、声に出してついていく
つまずいた所の英文を見直し、音のつながりを確認する
音だけを頼りに、集中してシャドーイングする
自分の声と元の音声をくらべ、できるようになった所・まだの所を確認する
同じ素材での練習は、合計5回くらいが目安とされています。それ以上くり返しても伸びが頭打ちになりやすい、という研究が紹介されていました。
また、論文ではシャドーイングは心理的な負担が大きい練習だとも書かれています。最初から完璧を目指さず、「昨日より少しついていけた」を喜ぶくらいでちょうどいいです。
繰り返すとクリアに聞ける時が必ずきます!
素材の選び方|初心者は「少しやさしい」がちょうどいい
素材選びで大事なのは、今の自分より少しやさしいものを選ぶことです。研究の紹介では、英語のシャドーイング素材の目安として次の条件が挙げられています(鳥飼ほか 2003、田辺 2014 の紹介より)。
| 条件 | 初・中級者の目安 |
|---|---|
| 知らない単語 | 全体の5%まで |
| 話す速さ | 1分間に120語前後(±20語) |
| 1回の長さ | 1〜3分 |
| 原稿(スクリプト) | あること |
中・上級者の速さの目安は、1分間に160語前後とされています。
この条件に合うのは、初心者向けの教材の音声や、ゆっくり話すニュース・学習者向けの音声です。まずはこうした素材で手順に慣れてから、ドラマに進むのがおすすめです。
初心者向けの教材を使うなら、音声つきで段階的にレベルが上がる本が取り組みやすいです。
「決定版 英語シャドーイング100本ノック」のおすすめポイント
- 1音だけ違う単語の聞き分けから、著名人のスピーチまで4段階・計100本
- 日本人が苦手な音の区別を重点的に練習できる
- 音声はスマホでストリーミング再生、パソコンにmp3でダウンロードもできる
「はじめての英語シャドーイング」のおすすめポイント
- 初心者向けで、短くやさしい英文から段階的にレベルを上げる構成
- 日常会話でよく使うフレーズが中心
- 1日1項目で進めると1か月で終えられる想定(2026年4月発売・アルク)
ドラマ・映画でシャドーイングするコツ


好きなドラマで練習できたら、楽しく続けられますよね。ただ、ドラマのセリフは速かったり、声が重なったりすることが多く、初心者には難しい素材です。場面の選び方を工夫しましょう。
場面選びのチェックリスト
- 一度ふつうに見て、話の内容がわかっている回
- 登場人物が1〜2人で、声が重なっていない
- BGMや効果音が少ない
- 日常会話の場面(専門用語が少ない)
- 1回の練習は、セリフ数文〜30秒くらいの短い場面
- 話している人の口元が見える
最後の「口元が見える」には理由があります。関西学院大学の門田修平さんらの研究課題では、話し手の口の動きの映像と一緒に聞くと、シャドーイングの効果が高まる可能性が報告されています。ドラマは、この点では相性のいい素材といえます。
Language Reactorを使うと練習しやすい
パソコンでNetflixを見るなら、拡張機能「Language Reactor」が便利です。
- Sキーで、今のセリフをもう一度再生できる
- 自動一時停止をオンにすると、1文ごとに止まる
- 英語字幕と日本語訳を同時に出せるので、ステップ1の「内容を先に理解する」がやりやすい
Netflixの再生速度を少し落として練習するのもひとつの方法です(Netflixのヘルプによると、ブラウザやスマホ・タブレットのアプリで再生速度を変えられます。)。
ドラマでやるときの流れ(例)
- 好きな作品の、内容がわかっている回を選ぶ
- 上のチェックリストに合う30秒ほどの場面を1つ決める
- 英語字幕と日本語訳で、意味と知らない単語を確認する
- 7ステップの2〜7を、その場面で行う
フレンズに何度も挑戦してます。シリーズ長いですが、ずっとシーズン1です。
「フレンズ コンプリート ブルーレイBOX」のおすすめポイント
- シーズン1〜10をまとめて手元に置ける
- 配信の入れ替わりを気にせず、同じ場面を何度でもくり返せる
- 初回生産限定版のため、新品は品切れのことがある(中古の出品もある)
シャドーイングを続けるためのコツ
- 1日10分でいい:田辺(2014)でも、シャドーイングは10分程度で実施できる手軽さが紹介されています
- 同じ素材を5回で卒業:飽きる前に次の素材へ
- 録音は週1回でもOK:毎回だと負担なら、週に1回の確認でも
- 声を出せない日はマンブリングかサイレント:電車の中でも頭の中で練習できる
効果の感じ方や、どれくらいで変化が出るかは人それぞれです。「効果が出ない」と感じたときの見直し方は、別の記事でまとめる予定です。
録音を聞いても判断できないときは
録音を聞き返しても、どこが違うのか自分では判断しにくいことがあります。発音やリズムを見てもらいたい方は、オンライン英会話で講師に直接たずねる方法もあります。
「ワールドトーク」のおすすめポイント
- 日本人講師と話せるので、英語で言いたいことが出てこないときも日本語で確認できる
- 登録するだけで無料体験ができる
- クレジットカードの登録は不要
まとめ
- シャドーイングは、聞こえた英語をほぼ同時にまねる練習。リピーティングとは別物
- 基本は「内容を理解してから」「少しやさしい素材で」「同じ素材で5回くらい」
- 初心者はマンブリング(小声でつぶやく)から始めると楽
- ドラマは「内容がわかっている回」「1〜2人」「30秒ほど」の場面を選ぶ
参考

