シャドーイングは英語のやり直しでよく勧められる練習ですが、研究で確かめられている効果は、思っているより範囲がはっきりしています。大学の研究をもとに整理すると、ポイントは次の3つです。
- 研究で報告が多いのは「リスニング(音の聞き取り)」への効果
- とくに、英語の音がまだ聞き取れない段階の人に効きやすい
- 一方で、単語や文法の知識が増える練習ではなく、「話せるようになる」ことも保証されない
このあと、期待できる効果・期待しすぎないほうがいいこと・効果が出るまでの期間の目安を、順番に見ていきます。
シャドーイングは英語の口になる筋トレにぴったり!
(更新日:2026年10月)
シャドーイングとは
シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、少し遅れて影(shadow)のように追いかけて声に出す練習です。
スクリプト(台本)を見ずに行うのが基本で、聞いた音をそのまま再現しようとするため、「なんとなく聞く」ことができません。この点が、ただ聞くだけの練習との大きな違いです。
シャドーイングで期待できる効果


研究や指導の現場で報告されている効果を、「確かさ」の目安と一緒に整理しました。
| 期待できること | 研究での報告 | ポイント |
|---|---|---|
| 音を聞き分け、単語として認識する力 | 報告あり(主にリスニングが苦手な学習者) | いちばん効果が期待できる所 |
| リスニングの理解 | 報告あり(大学生・8回の訓練など) | 素材のレベルが合っていることが前提 |
| 発音・リズム・イントネーション | 発音指導に使われている | 録音して聞き比べると効果的 |
| リスニングへの自信 | 成果と関係するという報告あり | 自信があるほど伸びやすい傾向 |
| 単語・文法の知識 | 直接増えるわけではない | 単語学習を別に組み合わせる |
| 話す力(自分の言葉で話す) | 本記事では直接の根拠を確認できず | 話す練習を別に用意する |
効果1:英語の音が「単語」として聞こえるようになる
シャドーイング研究を続ける濱田陽氏(秋田大学)の論文では、シャドーイングは主にリスニングの熟達度が低い学習者に効果があったと報告されています。
効いているのは、音を聞き分けて単語として認識する力です。「英語が音のかたまりにしか聞こえない」という人ほど、変化を感じやすいと考えられます。
逆に、すでに音を聞き取れる上級者は、伸びが小さかったとされています。
効果2:リスニングの理解が伸びる
日本の大学生80人を対象にした研究では、8回の訓練でリスニング理解が有意に伸びたと報告されています。
ただし、これは大学の授業として、教材や手順が整った環境で行われたものです。大人の独学で同じ期間・同じ結果になるとは限りません。
効果3:発音やリズムの練習になる
シャドーイングは、リスニングだけでなく発音指導にも使われています。お手本の音をまねるので、英語特有のリズムや、音がつながる感覚をつかむ練習になります。
シャドーイングはスピーキングよりリスニング効果が高く感じます
期待しすぎないほうがいいこと


シャドーイングは万能ではありません。次の点は、別の練習で補う必要があります。
- 単語・フレーズの知識:知らない単語は、何度まねても意味はわかりません
- 自分の言葉で話す力:人の言葉をまねる練習と、自分で文を作る練習は別物です
- 上級者のさらなる伸び:すでに聞き取れる人は、伸びを感じにくいことがあります
また、同じ研究では、成果が「本人の動機」や「シャドーイングへの受け止め方」にも左右されたと報告されています。「意味ないかも」と思いながら続けるより、何のためにやるのかを決めてから取り組むほうがよさそうです。


「話す力」を別に鍛えたいなら、スマホで話す練習ができるアプリもあります。
「トーキングマラソン」のおすすめポイント
- 6秒以内に英語で答える練習で、自分で文を作って話す力を鍛えるスマホアプリ
- アルクの「キクタン英会話」の頻出フレーズがもとになっている
- アカウント登録後3日間は全機能を無料で使え、その後も一部の機能は無料プランで続けられる
効果が出るまでの期間の目安


「何か月で効果が出る」と言い切れる研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
参考になるのは次の点です。
- 大学の授業での研究では、8回程度の訓練で伸びが報告された例がある
- 伸び方は、素材のレベル・今の実力・続け方によって変わる
独学なら、まずは同じ素材で1〜2週間続けて、次の「効果の確かめ方」で変化を見てみるのがおすすめです(研究の数値ではなく、様子を見るための目安です)。
効果を自分で確かめる3つの方法
効果は、なんとなくの感覚だと見えにくいもの。次のように記録しておくと、変化に気づきやすくなります。
| 方法 | やり方 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 録音で比べる | 初日と1〜2週間後に、同じ素材で録音する | 音が抜けている所が減ったか |
| 書き取り(ディクテーション) | 同じ30秒を書き取り、スクリプトと照合する | 書き取れた単語の割合 |
| 字幕を外して聞く | 練習した素材を、字幕なしで聞く | 意味がわかる所が増えたか |
続けても効果を感じないときは
しばらく続けても変化を感じないときは、練習そのものより「素材のレベル」や「手順」がずれていることが多いです。素材の選び方と基本の手順を、こちらの7ステップで見直してみてください。


効果を客観的に確かめたいなら
「自分の発音が合っているかわからない」「ひとりだと続かない」という場合は、オンライン英会話で講師に聞いてもらう方法もあります。
料金や内容は変わることがあるため、公式サイトで確認してから選んでください。
「ワールドトーク」のおすすめポイント
- 日本人講師と話せるので、英語で言いたいことが出てこないときも日本語で確認できる
- 登録するだけで無料体験ができる
- クレジットカードの登録は不要
まとめ
シャドーイングの効果について、研究からわかることをまとめます。
- いちばん期待できるのは、英語の音を単語として聞き取る力
- とくに、音がまだ聞き取れない段階の人に効果が報告されている
- 単語・文法や、自分の言葉で話す力は、別の練習と組み合わせる
- 期間は人によって違う。録音や書き取りで変化を記録すると続けやすい
「なんとなく良さそう」ではなく、「聞き取る力を伸ばすため」と目的をはっきりさせて取り組んでみてください。
シャドーイング練習が止まってしまっても、またスタートさせる!そうやって継続していきましょう。
参考
- Hamada, Y. (2016). Shadowing: Who benefits and how? Uncovering a booming EFL teaching technique for listening comprehension. Language Teaching Research, 20(1)
- 濱田陽(2015)「Uncovering Shadowing as an EFL Teaching Technique for Listening」秋田大学教養基礎教育研究年報 第17号
- Hamada, Y. (2014). The effectiveness of pre- and post-shadowing in improving listening comprehension skills. The Language Teacher, 38(1)
- Hamada, Y. (2021). Shadowing procedures in teaching and their future. The Language Teacher

