親の足腰が弱ってきた、退院後の生活が心配、物忘れが増えてきた。「そろそろ介護保険を使ったほうがいいのかも」と思っても、何から始めればいいのかわからない方は多いと思います。
先に結論をお伝えします。介護保険のサービスを使うには、まず親が住んでいる市区町村で「要介護認定」の申請をします。 家族が代わりに申請したり、地域包括支援センターなどに代行してもらったりすることもできます。結果は原則30日以内に届きます。
この記事では、厚生労働省や自治体の情報をもとに、次の4つをまとめました。
- 申請から介護サービス開始までの流れ(6ステップ)
- 申請に必要なもの
- 申請のタイミングと、結果が出る前のサービス利用
- 認定調査の前に家族が準備しておきたいこと
※制度の細かい運用は自治体によって違うことがあります。最終的には、親が住む市区町村の介護保険の窓口や地域包括支援センターで確認してください。
介護保険の申請の流れ|6ステップ

申請から介護サービスを使い始めるまでの流れは、次の6ステップです。
| # | ステップ | だれが | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 要介護認定の申請 | 本人・家族(代行も可) | 市区町村の窓口に申請書などを出す |
| 2 | 認定調査・主治医意見書 | 市区町村の調査員/主治医 | 調査員が自宅などを訪問して心身の状態を確認。市区町村が主治医に意見書を依頼 |
| 3 | 審査・判定 | コンピューター/介護認定審査会 | 一次判定(全国一律の方法)→ 専門家による二次判定 |
| 4 | 認定・通知 | 市区町村 | 原則、申請から30日以内に結果が届く |
| 5 | ケアプランの作成 | ケアマネジャーなど | どのサービスをどれくらい使うか計画を立てる |
| 6 | サービスの利用開始 | 本人・家族 | 介護サービス事業所と契約して利用 |
ステップ1:市区町村で要介護認定を申請する
申請先は、親が住んでいる市区町村の介護保険の窓口です。家族が離れて住んでいる場合も、親の住所地の市区町村に申請します。
- 家族が代わりに申請できます
- 地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などが、申請を代行してくれる場合があります
- 郵送で受け付けている自治体もあります
「どこに行けばいいかわからない」ときは、まず地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。高齢者の暮らしや介護の相談ができる公的な窓口で、市区町村や市区町村から委託された組織が運営しています。
ステップ2:認定調査と主治医意見書
申請すると、市区町村の調査員が自宅(入院中なら病院など)を訪ねて、心身の状態について聞き取りをします。これが認定調査です。
あわせて、市区町村が親の主治医に意見書を依頼します。
- 主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察が必要です
- 意見書の作成料を申請者が払う必要はありません
ステップ3:一次判定・二次判定
調査の結果をもとに、コンピューターで全国一律の方法による一次判定が行われます。その後、医療や福祉の専門家でつくる「介護認定審査会」が、主治医意見書などもふまえて二次判定をします。
ステップ4:認定の結果が届く
結果は、原則として申請から30日以内に届きます。区分は次の7段階と「非該当」です。
| 区分 | ケアプランの相談先 | 居宅サービスの支給限度額(月) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 地域包括支援センター | 50,320円 |
| 要支援2 | 地域包括支援センター | 105,310円 |
| 要介護1 | 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー) | 167,650円 |
| 要介護2 | 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー) | 197,050円 |
| 要介護3 | 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー) | 270,480円 |
| 要介護4 | 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー) | 309,380円 |
| 要介護5 | 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー) | 362,170円 |
※支給限度額は厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の掲載額(2026年10月確認)。自己負担は原則1割で、所得に応じて2割・3割になります。限度額を超えた分は全額自己負担です。
認定には有効期間があります。新規の場合は原則6か月(状態により3〜12か月)で、期間が切れる前に更新の申請が必要です。有効期間の途中でも、状態が変わったら「区分変更」の申請ができます。
ステップ5・6:ケアプランを作ってサービス開始
要介護1〜5の場合はケアマネジャー(居宅介護支援事業者)、要支援1・2の場合は地域包括支援センターに相談して、ケアプランを作ってもらいます。本人や家族の希望、心身の状態をふまえて、どのサービスを使うかを決めていきます。
その後、介護サービス事業所と契約して、サービスの利用が始まります。
介護保険の申請に必要なもの

自治体によって少し違いますが、主に次のものが必要です。
| 必要なもの | ポイント |
|---|---|
| 要介護・要支援認定の申請書 | 窓口でもらえるほか、自治体のホームページでダウンロードできることが多い |
| 介護保険被保険者証 | 65歳以上の人に届いている保険証。見つからないときは窓口で相談 |
| 医療保険の資格がわかるもの | 40〜64歳の人のみ |
| マイナンバーがわかるもの | マイナンバーカードなど |
| 申請する人の本人確認書類 | 家族が申請するときは、家族の本人確認書類も |
| 主治医の情報 | 病院名・医師名・所在地を申請書に書く |
40〜64歳の人は、介護が必要になった原因が、国が定めた16の「特定疾病」(がんのうち回復の見込みがないと医師が判断したもの、関節リウマチ、脳血管疾患、初老期における認知症など)の場合に対象になります。
申請のタイミング|早めに相談して大丈夫
「まだ早いかな」と迷っているうちに、生活が大変になってしまうこともあります。次のようなときは、申請を考えるタイミングです。
- 入院していて、退院後の生活に手助けが必要そう
- 歩くのが不安定になり、転びやすくなった
- 買い物・料理・掃除など、一人でできないことが増えた
- 物忘れで、生活に困ることが出てきた
- 家族の介護の負担が大きくなってきた
入院中の場合は、病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカーなど)に相談すると、退院に向けた申請の進め方を教えてもらえることがあります。
結果が出る前でもサービスは使える?
認定されると、有効期間は申請日にさかのぼります。そのため、ケアマネジャーなどに相談して「暫定ケアプラン」を作ってもらえば、結果が出る前からサービスを使える場合があります。
ただし、審査の結果が「非該当」だった場合は、使ったサービスの費用が全額自己負担になります。急ぐ場合は、ケアマネジャーや市区町村に相談してから利用しましょう。
認定調査の前に家族が準備しておきたいこと

認定調査では、親が家族の前や初めて会う人の前で「できます」「大丈夫です」と答えてしまうこともあります。家族が同席して、ふだんの様子を伝えられるように準備しておくと安心です。
- 困っていることをメモしておく:「夜中にトイレに何回起きる」「最近、火の消し忘れがあった」など
- いつから・どのくらいの頻度かを書いておく
- できる日とできない日があることも伝える
- 同席できる日程で調査を調整してもらう(離れて住む家族は、早めに日程を相談)
- 主治医にも最近の様子を伝えておく:意見書を書くときの参考になる
親の前で言いにくいことは、メモを調査員に渡す方法もあります。
介護保険を申請する前のチェックリスト
- 親が住む市区町村の介護保険の窓口・地域包括支援センターを調べた
- 介護保険被保険者証の保管場所を確認した
- 主治医(病院名・医師名)を確認した
- 申請書を手に入れた(窓口・ダウンロード)
- 家族が申請するか、代行をお願いするか決めた
- 困っていることを「いつから・どのくらい」でメモした
- 認定調査に同席できる家族を決めた
- 結果が出る前にサービスが必要か、ケアマネジャーや窓口に相談した
まとめ
介護保険の申請は、思っているより家族が手伝える部分が多い手続きです。ポイントは次の3つです。
- 申請先は親が住む市区町村。迷ったら地域包括支援センターに相談する
- 結果は原則30日以内。認定は申請日にさかのぼるので、早めの申請が安心
- 認定調査では、ふだんの様子をメモして家族が伝える
まずは、親が住む地域の地域包括支援センターの連絡先を調べるところから始めてみてください。
参考(2026年10月1日確認)

