40代からの認知症予防|アルツハイマー型認知症のリスクを下げる生活習慣とセルフチェック

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朝の光が差す窓辺のテーブルに置かれた開いたノートと鉛筆、湯気の立つお茶と小さな観葉植物
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親のもの忘れが増えてきたり、自分も人の名前がすっと出てこなかったり。40代を過ぎると、「認知症って、今から何かできるの?」と気になる人は多いと思います。

先に答えを書きます。

  • 認知症を確実に防ぐ方法は、今のところありません
  • ただ、WHO(世界保健機関)や国際的な研究チームは、生活習慣を整えることで、認知症のリスクを下げられる可能性があるとしています
  • 研究で名前が挙がっているのは、血圧・コレステロール・血糖・聞こえ・見え・運動・たばこ・お酒・人とのつながりなど、40代から見直せるものが中心です

この記事では、公的機関と研究報告をもとに、40代からできることを表とチェックリストにまとめました。

目次
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「認知症予防」は「ならない」ではなく「遅らせる」

40代の娘と高齢の母がお茶を飲みながら話すイラスト

まず、言葉の意味を確認しておきます。

厚生労働省の「認知症施策推進大綱」(2019年)では、「予防」を次のように説明しています。

「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。

同じ大綱では、運動不足の改善、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、社会参加による孤立の解消などが、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されているとも書かれています。

つまり、「これをすれば絶対ならない」ではなく、「リスクを少しずつ下げていく」という考え方です。この記事でも、その意味で「予防」という言葉を使います。

なお、ここで紹介する研究の多くは、アルツハイマー型だけでなく認知症全体を対象にしています。この記事で紹介する生活習慣も、「アルツハイマー型だけに効くもの」として分かっているわけではありません。

研究でわかっている「変えられるリスク要因」14個

認知症の変えられるリスク要因14(Lancet委員会2024年報告書)を子ども〜若いころ・中年期・高齢期に分けた図

2024年7月、医学誌「Lancet(ランセット)」の認知症委員会が報告書を公表しました。報告では、14のリスク要因に対処できれば、認知症のほぼ半数(約45%)を予防したり、遅らせたりできる可能性があると推計しています。

これは「すべての要因を完全になくせたら」という理論上の数字です。一人ひとりが45%リスクを下げられる、という意味ではありません。

14の要因と、40代のうちにできることを表にしました。

リスク要因40代からできること
高血圧血圧を測る習慣をつける。報告書は40歳ごろから収縮期血圧(上の血圧)130mmHg以下を保つことを提言
高いLDLコレステロール健診の数値を確認する。報告書は中年期からの発見と治療をすすめている(2024年に新たに追加)
糖尿病健診の血糖・HbA1cを見る。指摘されたら放置しない
肥満体重の変化を記録する
運動不足歩く時間を増やす(目安は後述)
喫煙禁煙する。禁煙外来も選択肢
過度の飲酒量を決めて飲む
うつ気分の落ち込みが続くときは受診する
難聴聞こえにくさを放置しない。大きな音を避ける
視力低下(未治療)見えにくさを放置しない(2024年に新たに追加)
社会的孤立人と話す機会、役割のある場を持つ
頭部外傷自転車ではヘルメットをかぶる
大気汚染個人でできることは限られる(社会全体の課題)
教育の少なさ子どものころの要因。大人は学び続けることで頭を使う

※Lancet 委員会 2024年報告書、UCL・Alzheimer Europe の発表(いずれも2024年7月31日)をもとに作成。「40代からできること」は報告書の提言を、わかりやすく言い換えたものです。

報告書の発表で示された割合では、難聴と中年期の高いLDLコレステロールがそれぞれ約7%、教育の少なさと社会的孤立がそれぞれ約5%、視力低下が約2%でした。どれも、ひとつだけで決まるものではありません。

注目したいのは、14個のうち多くが「健診でわかる数字」と「聞こえ・見え」だということです。特別なことを始める前に、まずは健診の結果を見直すのが近道です。

WHOのガイドラインは何をすすめている?

WHOは2019年に、「認知機能の低下と認知症のリスクを減らすためのガイドライン」を公表しています。生活習慣ごとに、推奨の強さが分かれているのが特徴です。

生活習慣WHOの推奨(2019年)
運動(身体活動)認知機能が正常な大人に強くすすめる
禁煙強くすすめる
地中海食に近い食事条件付きですすめる
危険な飲酒を減らす・やめる条件付きですすめる
体重・血圧・糖尿病・脂質の管理既存の診療ガイドラインに沿って管理する
脳トレ(認知トレーニング)根拠はまだ弱い
人との交流根拠が足りず推奨はなし(ただし健康全般のために大切)
ビタミンB・E、オメガ3などのサプリすすめない(リスクを下げる目的では)

※WHO「Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines」(2019年)。推奨の強さは要約資料で確認しました。

いちばんはっきりしているのは、運動と禁煙です。反対に、「認知症予防」をうたうサプリは、WHOのガイドラインではリスクを下げる目的ではすすめられていません。

40代から始めたい生活習慣

表の内容を、毎日の暮らしに置き換えてみます。

1. 体を動かす:まずは1日60分の「歩く」

スニーカーで歩く人の足元

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、大人の目安を次のように示しています。

  • 歩く、またはそれと同じくらいの体の動きを1日60分以上(約8,000歩以上)
  • 息が弾み、汗をかく程度の運動を週60分以上
  • 筋力トレーニングを週2〜3日
  • 座りっぱなしの時間を長くしすぎない

いきなり全部は難しいので、ガイドも「無理のない範囲から」としています。まずは今より10分多く歩くところからで十分です。

2. 運動と頭を同時に使う「コグニサイズ」

国立長寿医療研究センターが考えた「コグニサイズ」は、運動と頭の課題を組み合わせた取り組みです。健康長寿ネットでは、次のような例が紹介されています。

  • コグニステップ:足を横に出して戻すステップをしながら、3の倍数で手をたたく
  • コグニウォーク:大股で歩きながら、しりとりや計算をする

楽しみながら続けやすいのがよいところです。効果については研究が続いている段階なので、「運動を続けるための工夫のひとつ」として取り入れるのがおすすめです。

3. 健診の数字を「そのままにしない」

血圧・LDLコレステロール・血糖は、どれもLancetの14要因に入っています。健診で「要経過観察」「要受診」と書かれていたら、かかりつけ医に相談しましょう。家庭用の血圧計で、朝晩に測る習慣をつけるのもよい方法です。

4. 聞こえと見えを放置しない

40代から少しずつ気になり始めるのが、聞こえと見えです。テレビの音が大きいと家族に言われる、会話で聞き返すことが増えた、という場合は耳鼻咽喉科へ。見えにくさは眼科で相談しましょう。

5. お酒は量を決める

厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、女性は1日あたり純アルコール20g以上としています(男性は40g以上)。女性は男性よりアルコールの影響を受けやすいとされています。

6. 人と話す・役割を持つ

WHOは「人との交流」については根拠が足りないとしていますが、Lancetは社会的孤立をリスク要因に入れています。友人とのおしゃべり、趣味の集まり、地域の活動など、自分に合う形で人とつながる場を持っておくと安心です。

40代からの「認知症リスク」セルフチェックリスト

自宅で血圧を測ってノートに記録する40代女性のイラスト

診断ではありません。生活習慣を見直すきっかけとして使ってください。当てはまらないものが、見直すポイントです。

チェック項目はい/いいえ
この1年以内に健康診断を受けた
血圧の数値(上の血圧)を知っている
LDLコレステロールと血糖の数値を確認した
1日に合計60分くらいは歩いている
週に1回は息が弾む運動をしている
たばこを吸っていない
お酒は1日純アルコール20g未満(ビール中びん1本程度まで)にしている
聞こえにくさを感じたら耳鼻咽喉科に行くつもりがある
見えにくさを感じたら眼科に行くつもりがある
気分の落ち込みが2週間以上続いていない
週に何度かは、家族以外の人と話す
自転車ではヘルメットをかぶっている

※ビール中びん1本(500ml・5%)の純アルコールは約20gです。

「いいえ」が多くても、心配しすぎなくて大丈夫です。ひとつずつ「はい」に変えていくことが、この記事でいう「予防」です。

もの忘れが気になったら:相談先

生活習慣とは別に、今のもの忘れが心配という場合は、早めに相談しましょう。

  • かかりつけ医:最初の相談先として。必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえます
  • もの忘れ外来:脳神経内科・精神科・老年科などが行っています
  • 若年性認知症コールセンター:0800-100-2707(無料・匿名可)。月〜土 10時〜15時(水曜は19時まで)、祝日・年末年始を除く(2026年10月11日確認。堺市の案内ページより)

堺市の案内では、若年性認知症は「働き盛りの40〜50代で発症することが多い」と説明されています。仕事や家事でミスが増えた、段取りが立てられなくなった、と感じたら、ひとりで抱えずに相談してください。

親のもの忘れが心配な場合は、地域包括支援センターも相談先になります。

まとめ:特別なことより「数字」と「歩く」から

  • 認知症の「予防」は、ならないことではなく、遅らせる・リスクを下げるという意味
  • Lancet委員会は14のリスク要因を挙げ、ほぼ半数に対処できる可能性があると推計(理論上の数字)
  • WHOが強くすすめているのは運動と禁煙。サプリはすすめていない
  • 40代からは、健診の数字・聞こえ・見え・歩く時間の4つから見直すのが現実的

気になることがある人は、まずはチェックリストの「いいえ」をひとつだけ選んで、今月の目標にしてみてください。


参考(2026年10月11日確認)

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