墓じまいを考え始めると、まずぶつかるのが「取り出した遺骨を、どこに納めればいいの?」という問題です。
先に結論をお伝えします。
- 遺骨の行き先は、主に永代供養墓(合祀墓)・樹木葬・納骨堂・新しいお墓・散骨・手元供養の6つです
- 選ぶときは、費用だけでなく「あとから取り出せるか」「家族がお参りしやすいか」「何人分の遺骨があるか」を一緒に考えるのがポイントです
- 別のお墓や納骨堂へ移すときは、今のお墓がある市区町村の「改葬許可」が必要です。散骨や手元供養の場合の扱いは自治体によって違うので、事前に確認しましょう
この記事では、調べてわかったことをもとに、行き先ごとの比較表と、手続きの流れ、決める前のチェックリストをまとめました。
※手続きや必要書類は、市区町村や墓地によって異なります。最終的には、お墓がある市区町村の窓口と、墓地の管理者に確認してください。
墓じまいで取り出した遺骨の行き先は6つ
行き先をまとめました。
| 行き先 | どんなもの | 改葬許可 | あとから取り出せるか | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 永代供養墓・合祀墓 | 寺院や霊園が供養・管理を続ける。ほかの方の遺骨と一緒に納めることが多い | 必要 | 合祀後は難しい | 継ぐ人がいない、費用を抑えたい |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標にする。個別区画型や合祀型がある | 必要 | 合祀型は難しい | 自然に還りたい、継承者がいない |
| 納骨堂 | 屋内の施設に骨壺を納める | 必要 | 使用期間中は可能なことが多い | 天候に関係なくお参りしたい、駅近を希望 |
| 新しいお墓(一般墓) | 家の近くなどに建て直す | 必要 | 可能 | 継ぐ人がいて、お墓を残したい |
| 散骨 | 粉状にした遺骨を海や決められた場所にまく | 自治体により扱いが違う | できない | お墓を持たない選択をしたい |
| 手元供養 | 自宅で遺骨の一部や全部を保管する | 自治体により扱いが違う | 可能 | そばに置いておきたい |
「あとから取り出せるか」は、見落としやすいけれど大切なポイントです。合祀(ほかの方の遺骨と一緒に納めること)をすると、あとで「やっぱり別の場所に移したい」と思っても難しくなります。
費用の目安
公的な統計は見つかりませんでしたが、民間の調査(鎌倉新書「第17回お墓の消費者全国実態調査」2026年、2025年にお墓を購入した1,197人が対象)では、平均購入価格は次のとおりでした。
| お墓の種類 | 平均購入価格 |
|---|---|
| 樹木葬 | 71.7万円 |
| 納骨堂 | 81.5万円 |
| 一般墓 | 152.0万円 |
同じ調査では、購入したお墓の種類は樹木葬が47.4%で最も多くなっています。
ただし、これはお墓探しサイト経由で購入した人の平均です。実際の金額は、地域や区画の大きさ、納める人数で大きく変わります。必ず見積もりと料金表で確認してください(2026年10月時点の情報)。
行き先ごとの注意点
永代供養墓・合祀墓
「永代供養」といっても、一定期間は個別に安置し、その後に合祀する形、最初から合祀する形など、施設によって運用はさまざまです。
国民生活センターの資料では、骨壺1つごとに料金がかかる施設もあると紹介されています。先祖代々のお墓からは、思った以上に多くの骨壺が出てくることがあります。人数分の料金になると、新しいお墓を建てるのと変わらない金額になる場合もあるので注意しましょう。
樹木葬
樹木葬も、墓地として許可を受けた場所でなければなりません。法律で、遺骨を墓地以外の場所に埋めることは禁じられているためです。
区画が個別か合祀か、何年後に合祀されるのかを確認しておきましょう。
散骨
散骨については、厚生労働省の研究事業で事業者向けのガイドラインがまとめられています。主なポイントは次のとおりです。
- 遺骨は、形がわからないよう粉状に砕く
- 海なら海岸から一定の距離以上離れた海域、陸ならあらかじめ決めた区域で行う
- 契約は書面で結び、費用の明細をつける
- 散骨したあとに散骨証明書を渡す
また、東京都は「海や川では風評被害のおそれ」「山では土地の所有者や近所の人とのトラブルの例」があると注意を呼びかけています。自治体によっては、条例で散骨を禁止したり、許可制にしたりしているところもあります。
一度まいた遺骨は戻せません。家族や親族とよく話し合ってから決めましょう。
手元供養
自宅で遺骨を保管する方法です。遺骨の一部だけを小さな骨壺やアクセサリーに納め、残りを永代供養墓などに納める組み合わせもあります。
注意したいのは、自宅の庭などに遺骨を埋めることは認められていない点です。また、手元に置いた遺骨は、いずれ誰かが引き継ぐことになります。「自分のあと、この遺骨をどうするか」まで考えておくと安心です。
墓じまいから納骨までの手続きの流れ
別のお墓や納骨堂へ移す場合の、一般的な流れです。
- 親族と話し合う:遺骨の行き先、費用の分担、お寺への連絡の仕方を決める
- 遺骨の数を確認する:墓地の管理者に、何人分が納められているか聞く(古いお墓では土葬の場合もあり、その場合はいったん火葬が必要です)
- 新しい行き先を決める:契約し、受け入れを証明する書類(使用許可証など)をもらう
- 今の墓地の管理者から「埋葬(埋蔵)の証明」をもらう
- 今のお墓がある市区町村に改葬許可を申請する:申請書に、埋葬の証明や受け入れ先の書類などを添えて出す。許可されると「改葬許可証」が交付される
- 閉眼供養(魂抜き)をして遺骨を取り出す:墓石の撤去と区画の片付けもこのときに
- 新しい場所に納骨する:改葬許可証を新しい墓地の管理者に出す
申請書の様式や添付書類は、市区町村によって違います。お墓がある市区町村のホームページで「改葬許可」を検索するか、窓口に電話で確認しましょう。
散骨や手元供養にする場合、改葬許可が必要かどうかも自治体によって扱いが異なります。遺骨を取り出す前に確認しておくと安心です。
遺骨の行き先を決める前のチェックリスト
- お墓に何人分の遺骨が入っているか確認した
- 土葬の遺骨がないか確認した
- 親族(とくにお墓の名義人)の同意を得た
- 「あとから取り出せるか(合祀のタイミング)」を確認した
- 骨壺1つごとの料金か、まとめての料金かを確認した
- 年間管理料など、あとからかかる費用を確認した
- 家族がお参りに行ける場所か、お参りの方法を確認した
- 散骨・手元供養の場合、自治体の手続きと条例を確認した
- 契約内容と費用の明細を書面でもらった
生前のうちに話し合う時間を設けましょう。
まとめ
- 墓じまいの遺骨の行き先は、永代供養墓・樹木葬・納骨堂・新しいお墓・散骨・手元供養の6つ
- 費用だけでなく、あとから取り出せるか、何人分あるか、お参りしやすいかで比べる
- 別のお墓や納骨堂に移すときは改葬許可が必要。散骨・手元供養は自治体に扱いを確認する
一つに決めなくても、「一部は手元に、残りは永代供養墓に」といった組み合わせもできます。まずは、お墓に何人分の遺骨があるかを確かめるところから始めてみてください。
参考(2026年10月1日確認)
- 墓地、埋葬等に関する法律/同法施行規則(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」
- 東京都保健医療局「散骨に関する留意事項」
- 生命保険文化センター(鎌倉新書「第17回お墓の消費者全国実態調査」を引用)
- 国民生活センター『国民生活』2025年12月号「墓じまい(廃墓)をする場合の留意点」

