布団に入っても寝つけない。夜中に何度も目が覚める。汗をかいて起きてしまう。40代後半から50代にかけて、こんな夜が増えたと感じる方は少なくありません。
先にお伝えしたいのは、更年期の時期に眠りの悩みが増えるのは、めずらしいことではないということです。厚生労働省の資料では、更年期の女性の4〜6割が睡眠の悩みを抱えていると紹介されています。
そのうえで、できることは大きく2つあります。
- 寝室の環境と、1日の過ごし方を見直す
- 眠れない状態が続くなら、婦人科などで相談する
この記事では、公的な情報をもとに、今夜から見直せるポイントと、相談するときの目安をまとめました。
※この記事は一般的な情報です。症状や治療については、必ず医師に相談してください。
私は寝つくまでに時間がかかって、辛いです!!
(更新日:2026年10月)
更年期に眠れなくなるのはなぜ?
女性ホルモンの変化と、寝汗・ほてり
更年期は、閉経をはさんだ前後およそ10年間のことです。日本人の閉経は51歳前後とされ、多くの人は45〜55歳くらいがこの時期にあたります。
厚生労働省の資料によると、更年期には眠れない不眠症や、睡眠中の呼吸が止まりやすくなる「閉塞性睡眠時無呼吸」のリスクが高まることが知られています。女性ホルモンの減少が関係すると考えられていますが、はっきりした原因はまだ十分にわかっていません。
また、ほてりや発汗(ホットフラッシュ)が強いと、深い眠りが妨げられ、夜中に目が覚めやすくなると考えられています。
暮らしの変化やストレスも重なりやすい
この時期は、子どもの独立や親の介護、仕事の責任の変化など、暮らしの変化も重なりやすい時期です。心配ごとを抱えたまま布団に入ると、眠りにくくなることもあります。
「全部更年期のせい」とは限らない
眠れない原因は、更年期だけとは限りません。うつ病や甲状腺の病気、睡眠時無呼吸など、ほかの病気が隠れていることもあります。長く続くときは、自己判断せずに医療機関で相談することが大切です。
まずチェック|あなたの「眠れない」はどのタイプ?
眠れない悩みといっても、人によって困り方が違います。自分に近いものを見てみましょう。
| タイプ | よくある様子 | 見直したいポイント |
|---|---|---|
| 寝つけない | 布団に入っても1時間近く眠れない | 夜のスマホ・カフェイン、寝る前の過ごし方、ストレス |
| 夜中に目が覚める | 2時、3時に目が覚めて、そのあと眠れない | 寝酒、寝室の温度・明るさ・音、寝汗 |
| 寝汗で起きる | 汗をかいて目が覚め、着替えることも | 寝具やパジャマの素材、室温。ほてりが強ければ婦人科へ |
| 朝早く目が覚める | 予定より早く起きてしまい、日中だるい | 起きる時刻をそろえる、朝の光、昼寝の長さ |
| 休んだ感じがしない | 時間は寝ていても疲れがとれない | 睡眠時間の確保、いびき・呼吸の止まり(家族に聞く) |
「休んだ感じがしない」「大きないびきをかいていると言われた」という場合は、睡眠時無呼吸などの可能性もあるので、早めに医療機関で相談しましょう。
今夜から見直せること|厚生労働省の睡眠ガイドより
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保すること、そして生活習慣や寝室の環境を見直して「ぐっすり休めた感じ(睡眠休養感)」を高めることがすすめられています。
ちなみに、令和元年の国民健康・栄養調査では、睡眠時間が6時間未満の女性は40〜50歳代で4割を超えていました。忙しい世代ほど、まず「眠る時間を確保する」ことから見直す価値がありそうです。
朝:起きる時刻をそろえて、光を浴びる
- 休日も含めて、起きる時刻をなるべく同じにする
- 起きたらカーテンを開けて、朝の光を浴びる
- 朝ごはんを食べる
眠れなかった翌朝ほど、ゆっくり寝ていたくなりますが、起きる時刻がずれると、その夜も寝つきにくくなりがちです。
昼:体を動かし、昼寝は短めに
- 日中は、散歩や家事など、体を動かす時間をつくる
- 夕方の昼寝や、長い昼寝は避ける
厚生労働省の更年期向けの資料でも、日常の家事や移動に「ついで」の運動を足すことから始める方法が紹介されています。
夜:カフェイン・お酒・スマホを控える
- 夕方以降のコーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクは控えめに
- 寝酒はしない(かえって眠りを悪くするとされています)
- 寝る直前の夕食や夜食は控える
- 寝る前・布団の中でのスマホやパソコンは避ける
- たばこは控える(更年期の不眠やほてりの危険因子とされています)
寝室:暗く、静かで、心地よい温度に
- 寝室はなるべく暗くする
- 音が気になるなら、静かな環境をつくる工夫をする
- 暑すぎず寒すぎない、心地よい温度・湿度にする
- 寝具やパジャマは、汗を吸いやすく、肌ざわりのよいものを選ぶ
参考までに、長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」では、快眠のための目安として、寝床の中は温度33℃前後・湿度50%前後、寝る前の明るさは30ルクス以下(暖かい色の光)、睡眠中の音は40dBA以下が望ましいと紹介されています。
運動した日は比較的早く眠りにつくことができます
寝室を整えるグッズの選び方
グッズは、眠りを「つくる」ものではなく、眠りやすい環境を整えるための道具です。「これを使えば眠れる」というものではないので、困りごとに合わせて選びましょう。
| 困りごと | 道具の例 | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
| 外の明かり・朝日が気になる | 遮光カーテン、アイマスク | 遮光の等級、窓のサイズ。アイマスクは締めつけすぎないもの |
| 家族のいびき・外の音 | 耳栓 | 素材(ウレタン・シリコンなど)と耳へのなじみ |
| 寝汗で起きる | 吸湿性のよいパジャマ・シーツ、着替え用のパジャマ | 綿・ガーゼなど汗を吸いやすい素材、洗い替えができる枚数 |
| 暑さ・寒さで目が覚める | 季節に合った寝具、エアコンのタイマー | 重ねて調整できるもの。室温は「心地よい」を基準に |
| 寝る前に明るい照明の下にいる | 間接照明、暖色の電球 | 明るさを落とせる、暖かい色のもの |
| 乾燥が気になる | 加湿器 | 手入れのしやすさ(清潔に保てるか) |
サプリメントについては、厚生労働省の資料で「薬との相互作用に注意」「有効性の科学的根拠が十分でないものがある」「効果には個人差がある」と注意が書かれています。使う場合は、飲んでいる薬があれば医師や薬剤師に相談してからにしましょう。
婦人科などに相談する目安
生活を見直しても眠れない日が続くときは、ひとりで抱えずに相談しましょう。次のような場合は、受診を考えるタイミングです。
- 眠れない状態が続き、日中の仕事や家事に支障が出ている
- ほてり・発汗・動悸など、ほかの更年期らしい症状もつらい
- 気分の落ち込みや不安が強い、何をしても楽しめない
- 大きないびき、睡眠中に呼吸が止まっていると家族に言われた
- 月経の様子がいつもと大きく違う、不正出血がある
何科に行けばいい?
| 気になること | 相談先の例 |
|---|---|
| ほてり・寝汗・月経の変化など、更年期の症状全体 | 婦人科(更年期外来があるところも) |
| いびき・呼吸の止まり、日中の強い眠気 | 睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科など |
| 気分の落ち込み・不安が強い | 心療内科・精神科 |
| どこに行けばいいかわからない | かかりつけ医、自治体の健康相談窓口 |
婦人科ではどんな治療がある?
厚生労働省の資料では、更年期障害の治療は、まず生活習慣の見直しなどを行い、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬などの薬物療法が検討されると紹介されています。
- ホルモン補充療法(HRT):減った女性ホルモンを補う治療。ほてりなどの症状がやわらぐことで、睡眠の悩みが軽くなることがあるとされています。一方で、乳がん・子宮体がんや血栓症などへの注意が必要で、使えない人もいます。検査と医師の管理のもとで行う治療です
- 漢方薬:症状や体質に合わせて処方されます。更年期でよく使われるものの例として、肩こり・イライラ・不眠などがある人に加味逍遥散が挙げられています
どの治療が合うかは人によって違います。気になる治療があれば、メリットと注意点を医師に聞いてみましょう。
受診の前に、次のことをメモしておくと話がスムーズです。
- いつごろから眠れないか、どんなタイプか(寝つけない/夜中に起きるなど)
- 最後の月経の時期、月経の変化
- ほかに気になる症状(ほてり、汗、気分など)
- 飲んでいる薬・サプリ
厚生労働省の事業「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」のサイトには、更年期障害のセルフチェックもあります。受診の前に試してみるのもひとつの方法です。
今夜から使える見直しチェックリスト
- 平日も休日も、起きる時刻をだいたいそろえている
- 朝起きたら、カーテンを開けて光を浴びている
- 日中に、少しでも体を動かしている
- 夕方以降の昼寝や、長い昼寝をしていない
- 夕方以降のカフェインを控えている
- 寝酒をしていない
- 寝る直前に食事をしていない
- 寝る前・布団の中でスマホを見ていない
- 寝室は暗く、静かで、心地よい温度になっている
- 寝汗に備えて、汗を吸いやすいパジャマ・着替えを用意している
- 見直しても続くなら、婦人科などに相談すると決めている
まとめ
更年期に眠れなくなるのは、めずらしいことではありません。ただし、がまんし続ける必要もありません。
- 朝の光・起きる時刻・日中の活動で、眠りと目覚めのメリハリをつける
- カフェイン・寝酒・夜のスマホを控え、寝室を暗く心地よくする
- 見直しても続く、日中に支障があるときは、婦人科などで相談する
まずは、チェックリストで当てはまらなかった項目をひとつ選んで、今夜から試してみてください。
まさか自分に眠いのに寝れない日が来るとは…更年期こわいっす
参考

